「ファイバーレーザー溶接機を入れたいが、初期投資が大きい」——そんなとき候補になるのがものづくり補助金です。設備投資への支援制度としては代表的で、生産性向上に資する機械装置は補助対象になり得ます。
この記事では、ものづくり補助金でファイバーレーザー溶接機を導入することをテーマに、2026年7月時点の公募状況・対象になるパターン・申請の流れ・採択のポイント・SLシリーズ(SL-1500 / SL-2000)の活用例までを、技術商社の目線で整理します。
1. 2026年7月時点の公募状況
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。2026年7月時点の状況は次のとおりです。
- 直近の回:第23次公募。公募期間は2026年2月6日(金)〜5月8日(金)17:00(電子申請の受付開始は4月3日)。
- 2026年7月時点ではすでに締め切られており、採択発表(8月上旬予定)を待つ段階です。
- 次回(第24次)の公募日程は、2026年7月時点で公式サイトに明記されていません。申請を検討する場合は、総合サイトの告知を随時確認してください。
なお、現行の公募では従来の「通常枠」「デジタル枠」などの名称は整理され、後述の「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」に再編されています。ネット上には古い枠名の情報も残っているため、必ず最新の公募要領を基準にしてください。
2. 枠・補助上限・補助率
ファイバーレーザー溶接機のような生産設備の導入で中心になるのが「製品・サービス高付加価値化枠」です。第23次公募での主な条件は次のとおりです。
補助上限額(製品・サービス高付加価値化枠)
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 大幅賃上げ特例の適用時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 〜850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 〜1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 〜2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 〜3,500万円 |
補助下限額は100万円です。参考までに、輸出を伴う事業向けの「グローバル枠」は補助上限3,000万円(下限100万円)に設定されています。
補助率
- 中小企業者:1/2
- 小規模企業者・小規模事業者および再生事業者:2/3
加えて、最低賃金引上げに係る特例など、一定の要件を満たすと補助率が2/3に引き上げられるケースがあります。たとえば従業員6〜20人の中小企業(補助率1/2)が上限いっぱいの1,000万円の補助を受けるには、補助対象経費で2,000万円規模の設備投資が必要になる、という関係です。
補助上限・補助率は「枠」「企業規模」「特例の適用有無」で変わります。自社がどの区分に当たるかを最初に確認しておくと、投資計画が立てやすくなります。
3. 賃上げ要件と対象経費
賃上げ要件(基本要件)
ものづくり補助金には、事業計画に盛り込むべき基本要件があります。賃上げに関しては、主に次の2つです(第23次公募の場合)。
- 給与支給総額:事業計画期間に、従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上で増加させること。
- 事業場内最低賃金:事業実施都道府県の地域別最低賃金より+30円以上高い水準を維持すること。
これらは「努力目標」ではなく必達要件で、達成できない場合は補助金の一部を返還する規定があります(付加価値額が増加しておらず、かつ計画期間の過半で営業赤字といった一定要件に該当する場合や、天災等やむを得ない事情がある場合は、返還が緩和・免除されることもあります)。数値は公募回で見直されるため、申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。
対象経費
本補助事業は設備投資を行うことが必須で、機械装置・システム構築費が中心的な対象経費です。ファイバーレーザー溶接機の本体はここに該当し得ます。第23次公募では、機械装置・システム構築費として単価50万円(税抜)以上の取得が必須とされています。そのほか、技術導入費・専門家経費・運搬費・クラウドサービス利用費・原材料費・外注費・知的財産権等関連経費なども、要件の範囲で対象になります。
ここで混同しやすいのが2つの「下限」です。補助金申請額の下限は100万円、一方で機械装置・システム構築費の単価下限は50万円(税抜)。役割が違うので、投資計画を立てるときは両方を意識してください。
4. 対象になる導入パターン
ファイバーレーザー溶接機の導入が事業計画として通りやすいのは、「その設備でなければ解決できない課題」と「生産性向上の道筋」がはっきりしているケースです。代表的なパターンを挙げます。
- 熟練工不足の解消:TIGの熟練依存から脱却し、未経験者でも安定した溶接品質を出せる体制に転換する
- リードタイム短縮:溶接速度の向上でボトルネック工程を解消し、受注可能量を増やす
- 後工程の削減:低入熱で歪み・変色を抑え、研磨・手直しといった後工程コストを圧縮する
- 新製品・高付加価値化:これまで対応できなかった薄板・アルミ・ステンレスの精密溶接に対応し、受注領域を広げる
- 自動化・省人化:ロボット連携や複数工程の集約で、少人数でも生産量を維持・向上する
逆に「なんとなく新しい設備が欲しい」「同業が入れたから」という動機だけでは、審査で評価されにくくなります。課題→設備→効果(数値)→賃上げまで一本の線でつなぐことがポイントです。
5. 申請の流れ
ものづくり補助金の申請は、おおむね次のステップで進みます。公募回により細部は変わりますが、全体像として押さえておくと準備がスムーズです。
GビズIDプライムの取得
電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。発行に時間がかかることがあるため、早めに取得しておきます。
公募要領の確認・枠の選定
最新の公募要領で、対象要件・枠・補助上限・締切を確認。自社が「製品・サービス高付加価値化枠」等のどこに当たるかを決めます。
事業計画書の作成
課題・導入設備・期待効果(数値)・賃上げ計画・収支計画をまとめます。ここが採否を最も左右する部分です。
設備の相見積り取得
対象設備(レーザー溶接機など)の見積り・仕様書を用意します。相見積りを求められる場合があるため、複数社から取得しておくと安心です。
電子申請
締切までに電子申請システムから申請。書類の不備は不採択の原因になるため、余裕をもって提出します。
採択発表・交付申請
採択後、交付申請の手続きを経て「交付決定」を受けます。交付決定前に発注・契約すると対象外になる点に注意します。
設備導入・実績報告
交付決定後に発注・導入し、事業を実施。完了後に実績報告を行い、確定検査を経て補助金が支払われます(原則後払い)。
事業化状況・賃上げの報告
補助事業終了後も、数年間にわたり事業化状況・賃上げの実績を報告します。賃上げ要件の達成状況もここで確認されます。
6. 採択のポイント
審査では、技術面・事業化面・政策面などが総合的に評価されます。ファイバーレーザー溶接機の導入で説得力を高めるコツを挙げます。
- 効果を数値で書く:「速くなる」ではなく「溶接工程のリードタイムを○%短縮」「後工程の研磨工数を○時間/月削減」のように、根拠つきの数値で示す。
- 現状の課題を具体的に:熟練工の高齢化・特定工程のボトルネック・不良率など、現場の実データを添える。
- 設備選定の必然性:なぜファイバーレーザーか、なぜその出力・仕様かを、扱う材質・板厚・生産量から論理的に説明する。
- 賃上げとの一貫性:生産性向上の成果を賃上げにどう反映するかを、収支計画と矛盾なく描く。
- 実現体制:導入後の運用・保守・教育の体制を示し、「絵に描いた餅」でないことを裏づける。
設備の仕様書・見積り・デモ実績は、計画の裏づけとして早めに揃えておくと有利です。当社では、SLシリーズの仕様書・お見積りのご提供や、実機デモによる効果検証をお手伝いしています。
7. SLシリーズ(SL-1500 / SL-2000)の活用例
当社が扱うファイバーレーザー溶接機 SL-1500 / SL-2000は、ものづくり補助金の「生産性向上・高付加価値化」というテーマと相性のよい設備です。事業計画に落とし込みやすい活用イメージを紹介します。
| 課題 | SLシリーズでの解決 | 計画に書ける効果の例 |
|---|---|---|
| TIGの熟練依存 | ガイド機能つきで未経験者でも安定溶接 | 教育期間の短縮・属人化の解消 |
| 薄板の歪み・変色 | 低入熱で歪み・変色を抑制 | 後工程(研磨・手直し)工数の削減 |
| 生産量のボトルネック | 最大120mm/sの高速溶接 | 溶接工程のリードタイム短縮 |
| 厚板・多品種対応 | SL-2000は2,000W+ダブルワイヤー対応 | 受注可能な材質・板厚の拡大 |
これらは「導入設備が生産性向上・高付加価値化にどう効くか」という審査の観点にそのまま対応します。実際の数値(現状の工数・不良率など)は各社で異なるため、実機デモで自社材料の速度・仕上がりを検証し、その結果を事業計画の根拠データとして使うのがおすすめです。ランニングコストの試算については、価格相場とランニングコストの記事もあわせてご覧ください。
SLシリーズの仕様書・お見積りをご用意します
事業計画の根拠づくりに、実機デモと仕様書・お見積りをご提供。補助金を見据えた導入プランをご相談ください。
無料デモを申し込む 資料請求はこちらよくある質問(FAQ)
ものづくり補助金でファイバーレーザー溶接機は買えますか?
ものづくり補助金は生産性向上・新製品開発のための設備投資を対象とし、機械装置・システム構築費が補助対象経費に含まれます。ファイバーレーザー溶接機も、事業計画のなかで生産性向上・高付加価値化に資する投資として位置づけられれば対象になり得ます。ただし採否は計画内容と審査によるため、購入が保証されるものではありません。最新の要件は必ず公式サイトでご確認ください(本記事は2026年7月時点)。
2026年7月時点で公募はしていますか?
直近の第23次公募は2026年2月6日〜5月8日が公募期間で、2026年7月時点ではすでに締め切られ、採択発表(8月上旬予定)を待つ段階です。次回(第24次)の公募日程は2026年7月時点で公式サイトに明記されていません。申請を検討する場合は総合サイトで次回公募の告知をご確認ください。
補助上限額と補助率はどのくらいですか?
第23次公募の「製品・サービス高付加価値化枠」では、補助上限額が従業員規模別に5人以下750万円・6〜20人1,000万円・21〜50人1,500万円・51人以上2,500万円(補助下限額100万円)です。補助率は中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者および再生事業者2/3です。大幅な賃上げ特例を満たすと補助上限額がさらに上乗せされます。
賃上げ要件とは何ですか?満たせないとどうなりますか?
基本要件として、給与支給総額の年平均成長率を一定水準(第23次では従業員1人あたり年平均+3.5%)で増加させること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上高い水準にすることが求められます。達成できない場合は補助金の一部返還が必要となる規定があります(一定の赤字要件等に該当する場合などは緩和・免除もあり)。詳細は公募要領でご確認ください。
採択されるためのポイントは何ですか?
審査では技術面・事業化面・政策面が評価されます。なぜその設備が必要か、導入で何がどれだけ改善するか(リードタイム短縮・不良低減・省人化など)を、具体的な数値と根拠で示すことが重要です。相見積りや設備仕様書を早めに揃えておくと計画の説得力が高まります。
まとめ
ものづくり補助金は、ファイバーレーザー溶接機のような生産設備の導入を後押しする代表的な制度です。2026年7月時点では第23次公募が締め切られ、次回日程は未公表——という状況ですが、今のうちに事業計画の骨子・課題の数値化・設備の相見積りを準備しておくことが、次回公募での採択可能性を高めます。
大切なのは「課題→設備→効果(数値)→賃上げ」を一本の線でつなぐこと。SLシリーズの仕様書・お見積り・実機デモは、その根拠データづくりにご活用いただけます。最新の要件は必ず公式サイトで確認しつつ、まずは自社の課題整理からはじめましょう。
出典・参考
本記事は2026年7月4日時点の公開情報に基づく概要です。制度の詳細・最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
- ものづくり補助金総合サイト(公募要領・スケジュール)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/ - ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領(2026年2月6日)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/23th/ - 中小企業庁:第23次公募要領を公開しました
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260206001.html - 中小企業庁:ものづくり補助金(令和6年度補正)解説
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/29362/
※補助金の枠・上限・補助率・要件・スケジュールは公募回ごとに変わります。申請の可否・詳細は必ず最新の公募要領および公式窓口でご確認ください。当社は補助金の採択・給付を保証するものではありません。
▶ あわせて読む:ファイバーレーザー溶接機の価格相場とランニングコスト