溶接技術 価格・コスト

ファイバーレーザー溶接機の価格相場とランニングコスト|W数別の目安と電気代の計算式

ファイバーレーザー溶接機 SL-1500 / SL-2000 の価格とランニングコスト

ファイバーレーザー溶接機の導入を検討するとき、最初に気になるのが「本体はいくらか」「入れたあとの電気代・消耗品はどれくらいか」というお金の話です。ところがカタログには本体価格を載せないメーカーも多く、ランニングコストの内訳もはっきりしません。

この記事では、公開されているメーカー価格からW数別の相場観を整理し、電気代を「消費電力×稼働時間×電力単価」の透明な式で計算します。さらにTIG・YAGとのランニングコスト比較と、当社が扱うファイバーレーザー溶接機 SLシリーズ(SL-1500 / SL-2000)の位置づけまで、技術商社の目線で解説します。

本記事の数値について:本体価格は各メーカーの公開価格(2026年時点)の一例です。構成・オプション・為替・時期により変動し、特定製品の価格を保証するものではありません。電気代の試算は計算式を示すための例であり、実際の契約単価・稼働条件でご確認ください。出典は記事末尾に明記します。

この記事でわかること

  1. W数別の本体価格相場
  2. SLシリーズ(SL-1500 / SL-2000)の位置づけ
  3. ランニングコストの内訳と電気代の計算式
  4. TIG・YAGとのコスト比較
  5. 総保有コスト(TCO)で考える
  6. よくある質問(FAQ)

1. W数別の本体価格相場

ファイバーレーザー溶接機の本体価格は、出力(W数)・搭載機能・ハンディ型かロボット型か・国産か中国製かで大きく変わります。ここでは、価格を公開しているメーカー直販の一例を出力クラス別に整理します。あくまで「公開価格の一例」であり、同じ出力でもメーカー間で数十万円〜100万円以上の差が出ることがあります。

出力クラス本体価格の一例(税抜)主な用途イメージ
700W クラス約109万円〜(例:SLW700)薄板・小物、入門・軽作業
1,500W クラス約165〜210万円(例:SLW1500A/WT-FL1500)アルミ・ステンレスの薄〜中板、汎用
2,000W クラス約225万円前後(例:SLW2000)厚板・高速溶接、生産量が多い現場
ロボット搭載型(2,000W級)約418万円〜自動化・多品種量産ライン

参考までに、通販で公開されている1,500W機では税込128万円(HAIGE HG-LAS1500)という価格例もあります。100万円を切る低価格モデル(700W級)も登場しており、入門クラスの価格は数年前より下がっています。

一方で、注意したいのが「本体価格の安さ=総コストの安さ」ではないことです。中国製の一部モデルは本体価格が安く見えても、保守網・部品在庫・保証・トレーニングまで含めると、国産・正規サポート機との差が縮む、あるいは逆転することもあります。価格は「本体+設置+保守+消耗品+トレーニング」の合計、つまり後述の総保有コスト(TCO)で見るのが実務的です。同じ出力でも価格が数十万〜100万円違う理由は、ファイバーレーザー溶接機の価格の違い(国産・中国製とメーカー比較)で分解して解説しています。

2. SLシリーズ(SL-1500 / SL-2000)の位置づけ

当社が扱うファイバーレーザー溶接機 SL-1500 / SL-2000は、上表でいえば「1,500W〜2,000Wクラスの汎用〜高生産機」に位置します。主要スペックは次のとおりです(詳細は製品ページを参照)。

項目SL-1500SL-2000
定格出力1,500 W2,000 W
溶接スピード0〜120 mm/s0〜120 mm/s
溶接厚さ(シングルワイヤー)0.5〜5 mm0.5〜5 mm
ダブルワイヤー0.5〜5 mm 対応
電源単相 AC200/220V 50/60Hz単相 AC200/220V 50/60Hz
冷却方式水冷水冷

SL-1500は薄〜中板の汎用ニーズに、SL-2000は高出力(+33%)とダブルワイヤー対応で厚板や生産量の多い現場に向きます。本体価格はご要望の構成(発振器・トーチ・自動化オプション等)で変わるため、具体的な金額はお見積りにてご案内しています。ここで押さえたいのは、価格は「同クラスの汎用〜高生産機」のレンジに収まるという点です。

3. ランニングコストの内訳と電気代の計算式

ファイバーレーザー溶接の「入れたあとのコスト」は、主に次の要素で構成されます。

TIG/MIGで必要なタングステン電極・溶接ワイヤー・チップ・ノズルといった固有の消耗品がほぼ発生しないのが、ファイバーレーザー溶接のランニング面での強みです。ここでは、内訳のうち計算がしやすい電気代を透明な式で試算します。

電気代の計算式

電気代(円)= 消費電力(kW)× 稼働時間(h)× 電力単価(円/kWh)

この式に、①機械の消費電力②実際に動かす時間③契約している電力単価を入れるだけで、電気代を自分で概算できます。

電力単価の目安:新電力ネットの集計(2026年3月分)によると、法人の電気料金の平均単価は高圧が18.92円/kWh、低圧の動力が27.37円/kWh(いずれも消費税・再エネ賦課金を含まない値)です。これに再エネ賦課金(2026年度4.18円/kWh)や消費税を加えると、実質的な単価はおおむね23〜31円/kWh程度になります。以下の試算では、切りのよい25円/kWhを仮の単価として使います(実際はご契約の単価に置き換えてください)。

試算例:2kWクラス機を1か月動かすと

消費電力の目安として、当社の2kWクラスのファイバーレーザー機(レーザークリーナー SL-2000C)の公開スペックである消費電力7.3kWを用います。稼働条件を「1日8時間・月20日(=160時間/月)」、電力単価を「25円/kWh」とすると:

7.3 kW × 160 h × 25 円/kWh = 29,200 円/月

(1日あたりでは 7.3 × 8 × 25 = 1,460 円/日

つまり、フル稼働に近い前提でも月3万円弱が電気代の目安です。実際には常時フル出力ではなく待機・段取りの時間も含むため、この数字は「上限に近い概算」と捉えてください。電力単価が20円なら約23,400円/月、30円なら約35,000円/月と、単価に比例して増減します。

消費電力の考え方:ここで用いた7.3kWは当社SL-2000C(2kWクラス)の公開値です。溶接機の消費電力はレーザー出力・チラー容量・稼働状態で変わるため、正確な電気代は導入する機種の実消費電力で計算してください。上の式に機種の消費電力を入れ替えれば、同じ考え方でどの機械でも試算できます。

4. TIG・YAGとのコスト比較

ファイバーレーザー溶接のコストは、従来のTIGや旧世代のYAGレーザーと比べてどうなのか。消耗品・電力効率・速度の観点で整理します。

項目ファイバーレーザーTIGYAGレーザー(ランプ励起)
主な消耗品ガス・保護ガラス電極・ガス・溶加棒励起ランプ・ガス・保護ガラス
電力効率(電気→光)高い(数十%)—(アーク)低い(数%)
溶接速度速い遅い
消耗品交換の頻度少ない多い(電極・チップ)ランプ寿命で定期交換
1製品あたりの人件費低い(高速・省人化)高い(熟練・低速)

TIGとの比較:TIGは本体が安価ですが、電極・溶加棒などの消耗品が継続的にかかり、施工が遅いぶん人件費が積み上がります。ファイバーレーザーは消耗品が少なく、速度で人件費を圧縮できるため、月間の溶接量が多いほどランニング面の差が広がります

YAGレーザーとの比較:かつて主流だったランプ励起YAGレーザーは、電気を光に変換する効率が数%と低く、励起ランプの定期交換も必要でした。ファイバーレーザーは電気→光の変換効率が高く、ランプ交換も不要なため、同じレーザー溶接でも電気代・消耗品の両面で有利です。現在レーザー溶接機の主流がファイバー方式に置き換わったのは、この効率とメンテ性の差が大きな理由です。

ポイントは「本体価格」ではなく「1製品を仕上げるのにかかる総コスト」。速度が速く消耗品が少ないファイバーレーザーは、量が増えるほど1個あたりのコストで効いてきます。

5. 総保有コスト(TCO)で考える

ここまでを踏まえると、レーザー溶接機の導入判断は本体価格だけでなく総保有コスト(TCO)で見るのが妥当です。TCOは、ざっくり次の合計です。

本体価格が数十万円高くても、消耗品が少なく・速く・省人化できれば、月間の溶接量次第で差額を回収できる期間が見えてきます。逆に溶接量が少ない現場では回収に時間がかかるため、まずは自社の月間溶接時間と対象部品を棚卸しして試算するのが第一歩です。導入前に実機デモで自社材料の速度・仕上がりを確認しておくと、TCOの前提(速度・歩留まり)が現実的になります。

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よくある質問(FAQ)

ファイバーレーザー溶接機の本体価格の相場はいくらですか?

公開されているメーカー直販価格の一例で、700Wクラスが約109万円(税抜)から、1,500Wクラスが約165〜210万円(税抜)、2,000Wクラスが約225万円(税抜)前後です。ロボット搭載型や高出力機、国産・保守体制つきの機種はさらに高くなります。金額は2026年時点の公開情報に基づく一例で、構成・時期により変動します。

ファイバーレーザー溶接機の電気代はどのくらいかかりますか?

「消費電力(kW)×稼働時間(h)×電力単価(円/kWh)」で概算できます。消費電力7.3kWの2kWクラス機を電力単価25円/kWhで月160時間(1日8時間×20日)動かすと、約29,200円/月が目安です。電力単価は契約・時期で変わるので、実際の契約単価で試算してください。

ファイバーレーザー溶接はTIGよりランニングコストが安いのですか?

消耗品の観点では有利です。主な消耗品はガスと保護ガラス程度で、TIGの電極やMIGのワイヤー・チップといった固有の消耗品がほぼ不要です。速度が速いため人件費も圧縮しやすくなります。ただし本体価格はアーク溶接機より高い傾向があるため、月間の溶接量を前提に総保有コスト(TCO)で比較することが大切です。

本体価格以外にどんな費用がかかりますか?

設置・電源工事、換気/集塵設備、シールドガス、保護ガラス等の消耗品、レーザー安全対策、操作トレーニング・保守費用がかかります。導入検討時は、これらを含めた総保有コストと、削減できる人件費・後工程コストを合わせて評価するのがおすすめです。

SL-1500とSL-2000のランニングコストは違いますか?

消耗品の種類は同じで、大きな差は出力に応じた電力使用量と処理能力です。SL-2000は2,000Wと高出力なぶん厚板・高速溶接に余裕があります。単位時間あたりの電気代は出力が高いほど増えますが、処理が速く終われば1製品あたりのコストはむしろ下がることもあります。実際の板厚・生産量に合わせた試算とデモでの確認をおすすめします。

まとめ

ファイバーレーザー溶接機の本体価格は、公開価格の一例で700Wクラス約109万円〜、1,500Wクラス約165〜210万円、2,000Wクラス約225万円前後。ランニングコストは「消費電力×稼働時間×電力単価」で透明に計算でき、2kWクラスでもフル稼働に近い前提で月3万円弱の電気代が目安です。消耗品が少なく速度が速いため、TIG・YAGと比べて量が増えるほど1製品あたりのコストで有利になります。

大切なのは本体価格だけでなく総保有コスト(TCO)で判断すること。まずは自社の溶接量を棚卸しし、実機デモで速度・仕上がりを確かめたうえで試算するのが、失敗しない導入への近道です。

出典・参考

本記事の数値・単価は、以下の公開情報に基づく2026年7月時点の一例です。

※価格・単価は時期・契約・為替・構成により変動します。効果・費用は条件により異なり、特定の結果を保証するものではありません。

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